ランニングクリニック2017
パラリンピック金メダリストと一緒に走ろう !
全国から10名の初心者が参加。下肢切断者向けランニングクリニックは今年も感動の内に終了しました。
日本では2015年にスタートし、多くの皆様から、感動と勇気を分かち合う場として高い評価をいただいている「ランニングクリニック」。今回は、台風による悪天候のため、グラウンドに出て走ることはできませんでしたが、その分も体育館でのトレーニングには拍車がかかりました。 ポポフ選手、山本選手という黄金コンビの熱血指導のもと、10名の参加者は終始真剣にトレーニングに取組み、それぞれの目標を達成し、満面の笑みでクリニックを終了しました。参加者の皆様、見学、取材、ご協力いただいたすべての皆様に感謝申し上げます。
3日間の様子をビデオでご覧ください。
開催概要
開催概要
開催日 : 2017 年10 月27 日( 金) ~ 10 月29 日( 日)
開催場所: 明海大学浦安キャンパス (千葉県浦安市明海1 丁目) [www.meikai.ac.jp]
指導者 :
ハインリッヒ ポポフ 選手
リオパラリンピック走幅跳:クラスT42 金メダリスト
ロンドンパラリンピック100 メートル:クラスT42 金メダリスト、オットーボックアンバサダー
山本 篤 選手
リオパラリンピック 走幅跳:クラスT42 銀メダリスト、男子4 × 100mリレー:クラスT42-47 銅メダリスト
北京パラリンピック 走幅跳:クラスT42/44 銀メダリスト、2015 年世界選手権 走幅跳:クラスT42 金メダリスト
主催 : オットーボック・ジャパン株式会社
協賛 : 一般社団法人 日本パラ陸上競技連盟 / 日本財団パラリンピックサポートセンター
協力団体: 明海大学 / 株式会社アシックス / パナソニック株式会社 / トヨタ自動車株式会社
後援団体:ドイツ連邦共和国大使館 / 在日ドイツ商工会議所
スポーツ・フォー・トゥモロー認定事業
Day1レポート&フォト
1日目:10月27日 (金)
目標の設定、スポーツ用義足の装着と調整、最初の一歩
午前:室内
1) オリエンテーション(講師からの話/クリニックの目的/ 自己紹介)
2) 個人目標の設定
午後:体育館
3) 参加者のソケットの状態、健康状態、切断原因と使用義足に関する確認
4) 義足の装着と調整、歩行訓練
5) ビデオクリニック(ビデオによる姿勢の評価)
Day1 AM レポート
この日、西日本には台風が接近しているものの、関東地方は秋晴れのすがすがしいお天気に恵まれました。 初日のプログラムは屋内で行うため、晴れ渡った青空が恨めしくもあり、どうか明日、あさってまでこの青空が続いてほしいと願うばかりでした。
そんな中、北は青森、南は岡山から、18歳から57歳まで、様々な背景をもった参加者が緊張の面持ちで集合し、いよいよ2017年のクリニックが始まりました。息のあった講師二人のオリエンテーションにより、参加者の硬い表情も次第に笑顔に変わり、それぞれが3日間の目標を発表し合いました。
Day1 PM レポート
午後からは、いよいよスポーツ義足を装着し、調整をした後、歩行訓練からスタート。この日初めてスポーツ義足を装着し、文字通りの最初の一歩となった方もいました。鏡の前で姿勢を確認する他に、今年はパナソニックさんのご協力により、ひとり一人の歩行をビデオ撮影し、大型モニターを見ながらみんなで評価し合うというビデオクリニックも行われ、参加者からは、客観的に自分の歩行が見られると大好評でした。
Day2レポート&フォト
2日目:10月28日(土)
ランニングクリニック(基礎トレーニング、スポーツ義足に慣れる)
午前:体育館
1)基礎トレーニング
2)楽しみながら義足になれる(バスケットボール)
午後:体育館
3)楽しみながら義足になれる(バトミントン)
4)ランニングの基礎(姿勢、義足の動かし方の修正)
5)ビデオクリニック(ビデオによる姿勢の評価)
Day2 AM レポート
2日目は体育館に集合です。スポーツ義足の調整を終えたら、バスケットボール。楽しみながら動き回ることで、自然にスポーツ義足になれてゆきます。そんな楽しいトレーニングの後には、ランニングクリニックお馴染みの地獄の体幹訓練です。日頃使わない筋肉をこれでもかこれでもかと鍛えるこの訓練、思わず苦痛に顔がゆがみます。
Day2 PM レポート
午後からグラウンドに出る予定でしたが、この日は雨、残念ながら、引き続き、体育館でのクリニックです。午後一番にはバドミントン。つらい基礎トレーニングの後には楽しい球技などと、緩急いれた内容により、参加者も楽しくトレーニングに励むことができるというのが、ポポフ選手のプログラムの素晴らしいところです。
昨日に引き続きビデオクリニック(ビデオ撮影による個々の姿勢チェックと評価)を行い、その後は徐々に走る練習に移行。グランドには出られないものの、体育館の端から端までを使って走行練習を行いました。
終了後に講師2人と参加者のスリーショット撮影が行われ、参加者はポポフ選手、山本選手のそれぞれのメダル計4個を首から下げてもらい、満面の笑み、満面の変顔などなどで撮影を楽しみました。
Day3レポート&フォト
3日目:10月29日 (日)ランニングトレーニングとまとめ
午前:体育館
1)基礎トレーニング(体幹訓練 ほか)
2)楽しみながら義足になれる(バドミントン・サッカー・バスケットボール)
3)本格的なランニングトレーニング
午後:室内
1)3日間のまとめ、質疑応答
2)修了式
Day3 AM レポート
この日も朝から雨。しかも関東地方に台風接近ということで、最終日も残念ながら体育館でのトレーニングにとなりました。
やはり基礎トレーニングはとても重要、半端ない筋肉痛にめげず、ガンバレ、ガンバレ!3日目ともなると、バドミントン、サッカー、バスケットボールの動きもスムーズで、転倒する回数も格段に少なくなりました。
終盤に向け、床に幅を狭めながら置かれた目印をリズミカルに飛び越しながら走るなど、本格的な走行練習を行い、体育館の端から端まで全力疾走ができるまでになりました。最後は、オットーボックスタッフチームと参加者&指導者チームによる紅白戦のボール運びで白熱し、見事、参加者&指導者チームが勝利をしました。
Day3 PM レポート
午後は、3日間のまとめと修了式。残念ながら、後半は雨にたたられましたが、それぞれが目標を達成し、輝くばかりの笑顔でクリニックを終了することができました。すっかり仲良くなった参加者の皆さんは、それぞれのラインやメールなどの連絡先を交換し、再開を約束しながら名残り惜しそうにそれぞれの帰路につきました。
参加資格/ 申込方法
参加資格
- 下肢切断者( 参加定員10 名)
- 大腿切断者の場合:スポーツ用義足3S80 膝継手と スプリンター、またはランナー足部が装着できる方
- 下腿切断者の場合:ランナー、またはチャレンジャー足部が装着できる方で以下の条件を満たす方
◎ランナー:大人用 約33cm、 小児用 約22cm のクリアランスが必要
◎チャレンジャー:約20cm のクリアランスが必要
- 3 日間クリニックに参加できる方
- クリニック中に撮影したビデオ、写真の使用を承認していただける方
- 宿泊費・交通費は実費
[ 宿泊場所についてはオットーボック・ジャパンにご相談ください。]
申込方法/締切り
申込は8月18日(金)に締切りました。
多数の皆様にお申込いただき、ありがとうございました。
講師のプロフィール
ハインリッヒ ポポフ 選手
- 9歳の時に骨肉種で大腿切断。切断前にドイツの義足のパラリンピアンから、切断しても再びスポーツをすることができると勇気づけられ、切断後もスポーツを続ける
- 現在は義肢装具士を目指して就学中。
- ドイツ国内だけでなく、切断手術を控えている患者へのカウンセリング、学校の体育の授業に招かれたりと障がい者スポーツの啓蒙活動も行う。
- オットーボックのアンバサダーとしてスポーツ義足の開発をサポートをしたり、ランニングクリニックの指導者として、各国を飛び回っている。
- モットーは「立ち止まらずに前に踏み出すこと」
主な成績
2016 年リオパラリンピック 走幅跳(T42クラス):1 位
2013 年 IPC 陸上競技世界選手権大会 100 メートル(T42クラス):1 位
2012 年 ロンドンパラリンピック 100 メートル(T42クラス):1 位
2011 年 IPC 陸上競技世界選手権大会 100 メートル(T42クラス):1 位、走幅跳(F42):1 位
2008 年 北京パラリンピック 100 メートル(T42クラス):2 位
2004 年 アテネパラリンピック100 メートル(T42クラス):3 位
上記のプロフィールは2017年現在のものです。
山本 篤 選手
- 17 歳の時にバイク事故で大腿切断。日本聴能言語福祉学院で義肢装具士を目指して勉学中に、陸上競技に出会う。
- 義肢装具士としての国家資格を取得後も、パラリンピックを目標に陸上競技を続けることを決め、大阪体育大学体育学部に入学。
- 北京パラリンピックにて走り幅跳びで銀メダルを獲得し、日本パラリンピック陸上界の義足選手初のメダリストとなる。
- 大阪体育大学大学院体育学博士課程に進み運動力学を研究しながら、自己が持つ日本記録を更新し続ける。
- 現在は新日本住設(株)に所属し、プロアスリートとして活躍。
- 100 メートル(T42クラス)、200 メートル (T42クラス)、走幅跳(T42クラス)の日本記録保持者。
主な成績
2017 年 IPC 陸上競技世界選手権大会 走幅跳(T42クラス):2位
2016 年 リオパラリンピック 走幅跳(T42クラス):2位、男子4X100mリレー(クラスT42-47):3位
2015 年 IPC 陸上競技世界選手権大会 走幅跳(T42クラス):1位
2014 年 アジアパラ競技大会 100 メートル(T42クラス):1位(アジア新記録)、走幅跳(T42/43/44):1位(大会新)
2013 年 IPC 陸上競技世界選手権大会 走幅跳(T42クラス):1位
2011 年 IPC 陸上競技世界選手権大会 100 メートル(T42クラス):3 位、走幅跳(F42クラス):3 位
2008 年 北京パラリンピック 走幅跳(F42/44):2 位
上記のプロフィールは2017年現在のものです。
プレスの皆様へ
ランニングクリニック2017(ビギナーコース)の取材について
パラリンピックのメダリスト2名の熱血指導と、それに応えて燃焼するまでがんばる10人の義足ユーザーの感動の3日間。取材いただいたメディアの皆様、ありがとうございました。
取材日:10月27日(金)午後 / 10月28日(土)終日 / 10月29日(日)終日
問合せ先:
オットーボック・ジャパン(株) 佐竹
TEL:03-3798-2113 / Mail: ottobock@ottobock.co.jp
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プレスリリース:2017/10/11 ランニングクリニック2017
2016リオ金メダリスト(ハインリッヒ ポポフ選手)銀メダリスト(山本 篤選手)指導による下肢切断者向けランニングクリニック取材のご案内
小学校イベント/ 概要
今年も開催「パラリンピック金メダリストと一緒に“かけっこ”2017」
2017 年10 月27 日から明海大学(浦安市)で開催されたランニングクリニック前日に、江東区立有明小学校で、パラリンピック金メダリスト、ハインリッヒ ポポフ選手が児童といっしょに“かけっこ”をするイベントを開催しました。2回目となる今回は、パナソニック株式会社の協力の元、ポポフ選手の講演と“ かけっこ”教室が行なわれ、729人の児童の皆さんが多くのことを学び、思い出をつくってくれました。
このイベントの趣旨は
- 初めて見る義足のことを知る
- 義足ランナーと“かけっこ”して何かを感じる
- 障がい者と健常者は何が違うのかを考える
といったことを、児童に体験してもらい、障がい者と障がい者スポーツへの理解を深め、健常者と障がい者の共生(社会)を肌で感じてもらうことです。
開催概要
開催日:10 月26 日(木)
開催場所:江東区立有明小学校 東京都江東区有明2-10-1
スケジュール:
09:35 ~ 10:20 ポポフ選手講演「立ち止まらない勇気の大切さ」(体育館:全学年児童729 人対象)
10:40 ~ 11:10 パラリンピアンとかけっこ教室(運動場:全学年より選抜された児童48 人対象)
11:10 ~ 11:20 記念撮影 (運動場)
主催:オットーボック・ジャパン株式会社
協力:江東区立有明小学校 / パナソニック株式会社
指導者:ハインリッヒ ポポフ選手については、ランニングクリニック2017の「講師のプロフィール」を参照ください。
レポート&フォト
講演「立ち止まらない勇気の大切さ」 体育館:全学年児童729 人対象
10月26日(木)の早朝にドイツから来日したポポフ選手は、休息する間もなく、江東区立有明小学校を訪問し、全校児童が待ち構える体育館に拍手で迎えられました。
好奇心いっぱいの子どもたちを前に、9歳の時に骨肉腫で左足を切断したこと、友だちと遊べなくなったり、大好きだったサッカーではゴールキーパーしかできなくなったり、辛くて悲しいこともあったけれど、あきらめずに義足でスポーツを取り入れたリハビリを続けたこと、夢を追いかけてパラリンピックに出場し、メダルを獲得するまでになったことを話し、自らの体験をもとに、「辛いことがあっても決してくじけないでポジティブに考えること」、「夢や希望を持つこと」、「先生や両親などのまわりの人の話を聞くこと」、「一生懸命努力すること」など、大切なことは何かを語りかけました。
この日、初めて海外からのパラリンピアンに接した子どもたちは、金メダリストのポポフ選手がもつ走り幅跳びの世界記録、6m67cmにびっくりし、初めてみる義足には興味深々で、義足の取りつけのお手伝いをするなどのチャレンジもしました。また、全校児童による有明小学校の校歌斉唱には、ポポフ選手も大変感激しました。そして最後には、700人を超える児童一人ひとりにリオで獲得した金メダルを見せ、子どもたちは、触ってみたり、その重さにびっくりしたり、視覚障がい者のためにふると鈴のように音がすることを知って関心したりしました。
ポポフ選手とかけっこ!!
講演が終わると、各クラスから選ばれた代表の子どもたちが校庭に出て、ポポフ選手と一緒にかけっこをしました。スキップや後ろ向きでジャンプしたりするトレーニング法を教えてもらったり、一緒に競争したり。子どもたちのために、わざとスタートに失敗して出遅れたにもかかわらず、どんどんとスピードを上げて最後はみんなを追いついてしまったポポフ選手に、さすがはパラリンピックのチャンピオンだ、と大喝采でした。
この日の思い出は、ひとりひとりの心の中に、貴重な体験として刻まれたことと思います。そして、終始満面の笑みでエネルギッシュに接する子どもが大好きなポポフ選手にとっても日本での楽しい思い出になりました。
ポポフ選手への手紙
小学校訪問の翌週、ポポフ選手のもとには有明小学校より全校児童からの手紙が届けられました。各学年毎に絵や写真で飾られた表紙付の素敵なアルバムとなっており、思い思いの言葉でつづられ、中には、ドイツ語や英語でメッセージが書かれたり、かわいいイラストで飾られた、とっても心がこもった手紙に、ポポフ選手も大感激していました。
以下に、子どもたちからの手紙のいくつかを紹介します。
- (事前準備で見た)DVDでは分からなかったことも、見てみたり、さわってみたりして、深く分かりました。その中でも、前向き(ポジティブ)精神の大切さ、そしてその精神ができたのはなぜかが分かりました。最後にさわらせてもらった金メダル、とても重く、その重さはポポフ選手が金メダルを手に入れる努力だと感じました(5年生)。
- きんめだるをさわらせてもらって、ありがとうございます。こうていでも、みんなにおしえてくれたおかげで、1ねん1くみのこがはやいひとばかりになりました。ねむいといってたけど、おしえてくれてありがとうございます。きんめだる四回もとったのがすごいです(1年生)。
- 初めて見た時「かっこいいなー」と思いました。一番心に残ったことは、金メダルをさわらせてくれたことと、ハグをしたことです。教室にもどると、みんな手を見て、「もう、この手、あらえない!!」と言っていました。2020年のパラリンピックの時、日本で待っています(4年生)。
- 左足をせつだんしなくてはならないときいたとき、わたしはすごくこわかったです。どうやってあるくのか、九さいのときのうんどう会はどうしたのか。それからあとはどうするのか。あしがなくては大すきといっていたサッカーもできないんじゃないか。いろいろおもいました。わたしはスポーツがにがてです。でもポポフ選手のことばをきいて、もっとスポーツをしようと思いました(2年生)。
- 義足を使いこなしていて、ふつうに歩いたり、舞台から飛び降りたりしていて、まるで義足をつけていないみたいで驚きました。九才というあまりにも若すぎる年で義足になったということを知って悲しい気持ちになりました。でも義足で出られる競技があることを知って、がんばり続けていることを知り、うれしい気持ちになりました。私も夢に向かってがんばります(6年生)
- 9才のときに切断して、一番遊びたい時に足がつかえないからかわいそうと思いました。それでも夢をあきらめないポポフさんにゆうきづけられました、メダルに音がついてるなんてびっくり。それに走るのが早くて、声をあげてしまいました(3年生)。
その他にも、「パラリンピックに出た人にあえるなどゆめにも思ってなかったです」、「ぼくは健康な分、障がいのある人を支えたりするようにしたいです」、「パラリンピアンのために何ができるか、ということを改めて考えるきっかけになりました」、「今度のパラリンピックは興味をもって見たい」などなど、さまざまな思いが寄せられました。
プレスの皆様へ
小学校イベント(金メダリストとかけっこ)を取材いただいたメディアの皆様、ありがとうございました。
フレンドリーでエネルギッシュ、子どもたちを大好きなポポフ選手と、初めての義足や義足のメダリストに興味津々の子供たちの心温まる交流の場を取材いただきました。
問合せ先:
オットーボック・ジャパン(株) 佐竹
TEL:03-3798-2113 / Mail: ottobock@ottobock.co.jp